初コンタクト
神機がもそもそとアラガミを捕食する咀嚼音が響く。大小含めて計12体だっただろうか…全てのアラガミを一人で退治するのは流石に骨が折れた。

「ご無事でよかったです、さん」

ヒバリの無線が入る。

「ええ、当たり前よ。貴方のサポートは完璧だもの…懐かしいわ、第一部隊で走り回っていたあの頃のこと。思い出しちゃった」
「ふふ…あの頃よりも成長したんですよ、私?おかえりなさい、さん。すみません、帰還直後に緊急要請お願いしてしまって」
「いいのよ、それが私の仕事だもの。サテライトが無事でよかったわ」

捕食の終えた神機をケースに戻す。ヘリを回収地点に寄越すことをヒバリは告げると、無線を一度閉じた。だが、それと同時に別の無線が入る。また、緊急の要請なのだろうか。

「…どちらさま?私はクレイドル所属のよ」
「失礼、私の名前はブラッド隊所属、ジュリウス・ヴィスコンティ。緊急要請の対応に感謝をと思い通信を。我々では間に合わなかったもので」

律儀なことだ、と思う。わざわざ連絡をくれる者など、そう滅多にいないだろう。真面目な性分なのだろうか。融通の効かないタイプかもしれないと思い、少しソーマに似ているイメージを抱いた。

そういえばソーマは元気にしているだろうか、研究のしすぎで倒れていないといいが。

「そんなことは構わないわ、アラガミを喰らうことが仕事だもの…近くにいたのが私だっただけ。築きあげたサテライトを壊されるのも癪だしね」
「ふふ…そうですね。っと…ああ、連絡がきたようだ………どうやら帰投用のヘリが同じなようだ、そちらに向かいます。では、また後程」

そういって無線が切れる。

「また後程、か」

まさかブラッド隊のメンバーと相席できるとは思ってもみなかった。予想外の展開だが、悪くはない。私がいなかった間のことを、聞く時間が増えたというものだ。

神機をしまったケースの上に腰掛けながら、彼らを待てば、やがて賑やかな騒ぎ声が耳に届くのであった。